【つまらない話】

【つまらない話】

 15年目のつまらない話。

 2026年7月2日。

 Cafe&Bar BlueReefは、14周年を迎えた。

 15年目ということになる。

 その滑りだしを、ノンアルコールで過ごす事ができた。

 お店オープン以来の初めての快挙だった。

「営業中は、お酒は飲まない」

 でも、でも、でも、

「お祝いだから!」

「誕生日だから!」

「昔の友達だから!」

「先輩だから!」

「一年ぶりだから!」

「久しぶりだから!」

「めっちゃ、久しぶりだから!」

「めちゃめちゃ、久しぶりだから!」

 酒場でお酒を飲む理由(≒言い訳)は、いくらでもある。

 メキシコで、テキーラを作る職人が言っていた。

「メキシコでは、悲しい事があった時にテキーラを飲みます

またメキシコでは、嬉しい事があった時もテキーラを飲みます」

と。

 今年の周年7月2日は、烏龍茶で乾杯をさせていただいた。日が明け7月3日も烏龍茶で献杯させていただき、烏龍茶をお供えした。

「歳をとりましたね」

 そう言われるかも知れない。

 そんな、つまらない話が日常の会話になっている。

【遅れたお知らせ】

 周年のお知らせは、事前通達と相場は決まっている。

 周年のお祝いで売上は跳ね上がる。

 今年は『周年飲まないチャレンジ!』と一部の方にお伝えしていた。周年のお知らせは、事後とさせていただいた。

 お酒も弱くなったし、数値も気になるし、のんびりとした日常が一番いい。

 お祝いは、事後に気づいた方だけの、「おめでとう」の一言でいい。

 周年の売上は、跳ね上がらなくても、それでいい。一年通してならせばいい。

 細々と、黙々と、穏やかな日常があればいい。

 また、八百屋さんで立ち話をしてしまう。

「この前のジャガイモいいですね。ビーフシチューに入れたけど、煮崩れしなくて、柔らかくて」

 静岡の三方原(みかたはら)というところのジャガイモらしい。

 特別な日より、こんな日々の日常がいいよねと、思ってしまう。

「歳をとりましたね」

 また言われてしまう。

【やれそうですか?】

 14年前、このお店と出会った日。

自分にたずねた。

「10年後も、お前はここに立っていられるか?」

と。

 最近、不動産屋さんと、契約がらみでやり取りをしていた。

 向こう3年はとりあえず、今までどおりで変更はなしだと。安堵で肩を撫で下ろす。

「扉の板が傷んでいるけど、もう少しこのままで、やれそうですか?」

 長い付き合いを、今後もしていきたいから、無闇に修繕を求めたりはしない。

「やれそうです」

 建物もかなり古い。あと20年やれたら、建物は築年数100年に手を伸ばす。やれるものなら、そこまでやってみたいけど、建物がもつか、自分がもつか、これは分からない。

 それでも、とりあえず。

「やれそうです」と伝える。

 あの頃の自分に言うように。

 オープン当時、まだ34歳の頃。

「マスター、まだ50歳はいってないよね」と言われた。

 あと2年で50歳になるというところ。

「マスター、多分同い年くらいだよね?」

と。

 還暦を迎えるという人に言われた。

 時の流れにやっと追いついたと思ったら、また時が流れていく。

 日々自分と向き合いながら、精進していく所存でございます。

 のんびり、ノンアルコールで、日常を、細々と過ごしていきたい。なんなら歳は早くとりたい。

 15年目の滑り出しは、烏龍茶で過ごせたし、事後の周年の報告もSNSではあるけど、無事に済ませた。

 皆様には日々感謝いたします。

 お祝の言葉もありがたく頂きます。

「BARとは、日常の中にある、非日常である」

「そうやって、あと20年。お前はここに立っていられるか?」

 お店が僕に問いかける。

 僕もお店に問いかける。

 お店の柱をなでながら。

「はい、まだ、やれそうです」

と。

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